一隅を照らす運動 The Light Up a Corner of the World Activities


MOTTAINAI(もったいない) 実践3つの柱のお話

3.共生 MOTTAINAI(もったいない)

今、「MOTTAINAI(もったいない)」という言葉が世界の注目を浴びています。

アフリカ人女性として初のノーベル賞を受賞したケニアのワンガリ・マータイさん(※注1)は、「もったいない」という日本語を知り、「ものを大切にし、心豊かに生きてきた日本人の心・生き方そのものだ」と感激されました。そして、「この言葉を考え直すことで、大量生産・消費型のライフスタイルを変革できる」と考えて「もったいないを世界に」と提唱されました。今、その輪が国内外に広がっています。

「地球環境保全」というと、あまりに大きなことで、自分が関われることだろうかと思ってしまいます。また、「大切なことはわかるけれど、面倒なことはしたくない」と思う方もおられるでしょう。

「もったいない」…日本人でさえ忘れかけているようなこの言葉を、もう一度私たちの意識に呼び覚ますことで、環境問題やゴミ問題などにごく自然に関わっていくことができるのではないでしょうか。

※注1 … アフリカの植林活動に尽力し、環境分野の活動家として史上初のノーベル平和賞を受賞したケニアの女性活動家。

食べ物を残したらもったいない

子供の頃などに、「ご飯を粗末にするとバチがあたる」と言われたことがある方も多いのではないでしょうか?

お米の中に神様が何人もいる、お米は八十八の手間をかけて作られているなど、様々な理由で私たちは食べ物の大切さ、食べ物のいのちを粗末にしないこと、食べ物やそれを作ってくださった方への感謝の気持を教えられてきました。

今、日本は飽食の時代。お金さえ出せばどんな食べ物でも手に入り、食べるに困ることはありません。「グルメ番組」が流行り、食べることに時間とお金をかけるのを厭(いと)わないことがもてはやされています。

そんな中で、お茶碗の中のお米を最後の一粒まで残さずに食べることは当たり前ではなく、むしろ「格好の悪いこと」と思う人も増えているのではないでしょうか? 食べきれないほどの食べ物を注文し、残してしまうことに何の後ろめたさも感じないばかりか、残さずに食べきることは「恥ずかしい」ことだと考える人も増えているのではないでしょうか?(※注2)

食べ物をありがたくいただき、残したら「もったいない」と考えることは、すべての環境問題の出発点であるように思います。

家庭での実践例
  • 余分な食材は、冷蔵庫で保存する時、調理する時、処分する時、すべていのちとエネルギーの無駄遣いになってしまいます。自分の食べられる量だけ買い求めましょう。冷蔵庫の中やストックしてある食品の賞味期限を確かめましょう。

※注2 … 日本では、年間2千万トンの食品廃棄物が飲食店・コンビニ・家庭などから放出されます。
家庭の調理くず・食べ残しなどはその半分の約1千万トンで、その90%(食べ残し40%、調理くず37%、賞味期限切れ13%)は生ゴミです。食べ残しの内訳は、多い順から、手つかず食品38%、ご飯8%、パン類5%、肉類3%などとなっています。
今、世界では8億以上の人々が、毎日を空腹のまま終える生活を余儀なくされています。人災や自然災害の被災者およそ5千万人が、深刻な飢餓の脅威にさらされています。毎日5歳未満の子どもが1万6千人亡くなっていますが、その主な原因は栄養失調です。飢えのために5秒に1人のペースで子どもが亡くなっています。

「もったいない」を探そう!

不要なアイドリングはストップしよう不要なアイドリングはストップしよう

コンビニなどに行くと、ガムを一つだけ買ってもレジ袋に入れてくれることがあります。ガムに買ったことがわかるようにシールを貼ってもらえば、レジ袋は必要ありません。レジ袋をもらっても、たちまちゴミになってしまうだけです。

たとえば、見てもいないのにテレビをつけっぱなしにしたり、電灯をつけたままにしていることはありませんか? たった一杯のお茶を飲むのに、ヤカンに半分ほどのお湯を沸かしていませんか? 1枚着込んだだけで充分温かいのに、薄着のままで暖房をつけていませんか? 車を停めている間のアイドリングは必要ですか?………

家庭での実践例
  • エアコンの設定温度を適正(夏は28度以上、冬は20度以下)にして、衣服で調整しましょう。(※注4)
  • 電気はこまめに消し、あまり使わない電気器具はコンセントを抜きましょう。(※注5)
  • 冷蔵庫に食品を詰め込み過ぎないでおきましょう。(※注6)
  • 不要な車のアイドリングはやめましょう。(※注7)

※注3 … 家庭でのエネルギーの消費量は、多い順にエアコン、冷蔵庫、照明器具で、この3つで60%近くを占めています。これらで省エネをすれば大きなエネルギー節約になります。古いエアコンや冷蔵庫などは効率が悪いうえに、大きな電力を消費します。場合によっては大事に使うより、買い替えたほうが省エネになることがあります。

※注4 … エアコンの温度設定は、暖房を2度低く、冷房を1度高くすることで、約10%の電気代節約になります。

※注5 … 機器を使用していないときにも消費される「待機電力」は、家庭の全消費電力量の10%台といわれています。

※注6 … 冷蔵庫内に食品を詰め込みすぎると、庫内の冷気の循環が悪くなり、消費電力量が増加します。また、庫内にものを詰め込みすぎると、どこに何が入っているのかわからず、扉を開けている時間も長くなりますし、食品の使い残しを出す原因にもなります。

※注7 … 乗用車(2000ccガソリン車)で10分間アイドリングをすると、0.14リットルの燃料を消費し、90グラムの二酸化炭素を排出します。一般家庭用のガソリン車なら、厳寒期以外暖機運転は必要なく、1キロ程度はゆっくり運転をすれば充分です。

まだ使えるものを捨ててしまうのは「もったいない」

兄弟姉妹で服のお下がり「お下がり」という風習があります。兄弟・姉妹や親戚、近所の人などで、一つのものを大切に使い切る風習でした。
今は一つの物を長く大切に使うのが困難な時代かもしれません。電気製品を修理しようと思っても、「買ったほうがお安いですよ」とか、「新しい製品のほうが電気代が安いですよ」などと言われたりすることがあります。パソコンなどは「寿命は3年」と言われ、最初から長く使うことは期待できません。

最近はガレージセールやフリーマーケットなどが盛んに開かれるようになって、使う予定のない新品、中古ながらまだ充分使えるものなどを「流通」させる機会が増えました。また、インターネットのオークションなども盛んです。
出品されている物には、新品や新品同然のものはもちろん、「こんなもの、誰が買うだろう?」と思うような品物までありますが、不思議と欲しい人が現れてなくなっていきます。

品物を活かすことができるフリーマーケットも盛ん品物を活かすことができるフリーマーケットも盛ん

「もったいない」という視線で見てみると、いろいろな物が再利用できたり、リサイクルできます。

例えば、毎日家庭から出るゴミの約35%は生ゴミだといわれていますが、この生ゴミも処理をすると、堆肥などとして再利用することができます。

生き物だけではなく、「物」のいのちも大切に生かす、「もったいない」という気持ちが大切です。

家庭での実践例
  • 自分は要らなくなったけれどまだ使えるものは、知人などに譲るか、バザーやフリーマーケット、ガレージセール、リサイクルショップなどへ提供・交換・出品しましょう。また、提供されたものを使いましょう。インターネットのオークションも試してみては? 最近は、古い和服を欲しがっている人も増えています。
  • 自治体の資源ゴミの対象になっているものは、できるだけ回収に回しましょう。
  • 食品トレイ・牛乳パック・古紙など、大型店舗や地域の学校が回収しているものは、捨てずに回収に出しましょう。
  • 家庭から出されるゴミの約半分は、食べ残しや調理くずなどのいわゆる生ゴミです。生ゴミ処理機やコンポストなどを使って、生ゴミを減らすと共に、堆肥を作ってみませんか?(※注8)
  • 割り箸のリサイクルも行われています。日本人が1年間に使い捨てている割り箸は、約250億膳。これに使われる木材で120平米の家が1万7千戸建てられます。
    ◎王子製紙株式会社|割り箸回収活動
    (http://www.ojipaper.co.jp/culture_sports/community/chopstick_2.html)
  • 一隅を照らす運動では使用済の切手のリサイクルを行っています。

※注8 … 家庭用生ゴミ処理機の購入に対し、その費用の一部を補助する自治体が増えています。お住まいの自治体にお尋ねになってみてはいかがでしょうか。

もう一度、「勿体ない」

「勿体」(もったい)とは、世の中のすべてものは繋がりあって成り立っている、それ単独で成り立っているのではないという仏教の言葉です。「もったいない」はそんな存在価値や意義が、ないがしろにされ、あるいは十分に活かされていなくて惜しいという意味です。

繋がりあって成り立っているせっかくのものであるのに、その縁を断ち切って空しくしてしまう行い。たとえば、まだ使えるものを捨ててしまったり、価値があるものの価値を損なって無駄にしてしまうような行い。それらはすべて、私たちと繋がりつつ共に生きている「いのち」を粗末にする、あるいは、ものを生かすことをしない「もったいない」行為です。

ただ「物」を大切にするというのではなく、私たちと繋がりあって生きている森羅万象(しんらばんしょう)の「いのち」を大切にする行い、それが一隅を照らす運動がおすすめする「もったいない」です。